悔しい努力
ある日のことです。
「てらす」は、いつものようにトテトテトテと机の上を歩いていました。
ノートを書いている子。問題集を解いている子。そんな努力を見つけるたびに、てらすのほっぺの灯がぽっとともります。
「偉いね。」「すごいね」
てらすは、そっとそう言いました。そのときです。
机の上に開かれたノートのそばで、一人の子がうつむいていました。何度も問題を解こうとしています。でも、うまくいきません。もう一度。もう一度。消しゴムで消して、また書きます。もう一度。でもやっぱりうまくいきません。その子の目から
ぽつん
と涙が落ちました。ノートの上に小さな丸いしみができました。てらすはそのしみを見て思いました。
「あれ…?」
てらすのほっぺの灯はともっています。でも、胸の奥が少しだけきゅっとしました。てらすは初めて気づきました。努力にはうれしい努力だけじゃなくて悔しい努力もあるのだと。てらすはその子のノートの上にちょこんと座りました。体がやさしく光ります。強い光ではありません。ほんのり、あたたかい灯の光です。てらすはそっと言いました。
「大丈夫。」「ちゃんと見てるよ。」「頑張ってるね。」
その声は人には聞こえません。でもその子はふと顔を上げました。そしてもう一度だけ問題を解いてみようと思いました。
「努力って、きっとこういうものなんだ。」
うまくいく日もある。うまくいかない日もある。でもその全部が大切な努力なんだ。その日からてらすはうれしい努力には「偉いね」の灯を。悔しい努力には「大丈夫」の灯をそっとともすようになりました。
てらすのお部屋
