合格の光
冬の終わりのころでした。空気はまだ冷たくて、でもどこかやわらかい日です。その日、たくさんの人が同じ場所を見上げていました。
合格発表の日です。「てらす」は朝からそわそわしていました。
トテトテトテ。
いつもより少し早く歩きます。
ドキドキドキ。
だって、ずっと見守ってきた努力の答えが出る日だからです。あの子も。この子も。何度も問題を解いていた子。眠い目をこすりながら本を開いていた子。悔しくて涙をこぼした子。
てらすは、全部見てきました。発表の前でじっと立っている子。少し震えている手。深く息を吸ってそして自分の番号を探します。
「あった…!」
その瞬間。てらすの体がぱあっと光りました。今までで一番大きな光です。うれしくてうれしくて。しおり耳がぱたぱた動きます。
てらすはその子のそばに行ってそっと言いました。
「よかったね。」
でもそのすぐそばで静かにうつむいている子もいます。番号が見つからなかったのです。てらすはその子のそばにも行きました。今度の光はやさしくてあたたかい光です。
「大丈夫。」「ちゃんと頑張ってたよ。」「そばで見てたよ。」
その子は少しだけ顔を上げました。涙はまだあるけれど。ほんの少しだけ。ほんの少しだけ、前を向こうとしていました。
てらすは思いました。努力はうまくいく日もある。うまくいかない日もある。でも、そのどちらにもちゃんと意味がある。その日、世界のあちこちでたくさんの「てらすたち」がいろんな光をともしていました。明るい光。やさしい光。あたたかい光。
そしてまたどこかで誰かが本をひらきます。
トテトテトテ。
てらすはそっというのです。
「………だよ。」
てらすのお部屋
